QCDSEは建設業の重要な要素!優先順位や管理のポイントを紹介
建設業におけるQCDSEとは、建設プロジェクトの5つの要素(品質・コスト・工程・安全・環境)をバランスよく管理し、成功に導くための概念です。各要素の優先順位の適切な設定やITツールの活用で、効率的な施工管理が可能になります。
本記事では、QCDSEの詳細や優先順位・管理ポイントを紹介します。効率よく施工監視を行いたい方にとって必見の内容です。記事の最後には取り組み事例も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
なお、株式会社MIYOSHIでは、わずか165gの軽さで身につけて撮影できるウェアラブルカメラ「G-POKE」を提供しています。ハンズフリーで撮影できるため、両手が使えて効率が良いだけではなく、安全面でも安心です。
G-POKEは1週間の無料レンタルも可能ですので、気になる方は下記から資料をダウンロードしてみてください。
QCDSEとは?
QCDSEは、施工管理で重視される品質(Quality)・原価(Cost)・工程(Delivery)・安全(Safety)・環境(Environment)の頭文字を取ったものです。
QCDSEは建設業界において、次のような重要な役割があります。
- 現場の安全を守る
- 質の高い建造物を建てる
- 工期や予算を予定内に納める
- 現場および周辺の環境に配慮する
これらの要素をバランスよく管理することで、プロジェクトの成功と顧客満足度の向上が期待できます。
なお、QCDSEは「五大管理」とも呼ばれます。施工管理の全体像をつかみたい方は、下記の記事で解説しているので併せてご覧ください。
施工管理における五大管理とは?管理ポイント・優先順位を徹底解説
QCDとQCDSEの違いとは
QCDSEとよく似た概念にQCDがあります。QCDとQCDSEの主な違いは次のとおりです。
QCD |
・品質(Quality)・原価(Cost)・工程(Delivery)の3要素で構成される ・製造業の生産管理で広く使われている汎用的な概念 |
---|---|
QCDSE |
・QCDの3要素に加えて、安全(Safety)と環境(Environment)の2要素が追加された5要素から構成される ・建設業界、特に施工管理の分野で使われることが多い建設業特化の概念 |
つまり、QCDSEはQCDをベースに、建設業の施工管理に必要な「安全」と「環境」の視点を加えたものといえます。
施工管理におけるQCDSEの優先順位
施工管理におけるQCDSEの優先順位は次のとおりです。
-
【施工管理におけるQCDSEの優先順位】
- 1.Safety(安全)
建設作業は高所での作業や重機の操作など、危険をともなうものが多く事故や災害のリスクが高い。事故が起これば他のすべてに影響するため、現場の安全が最優先される - 2.Quality(品質)
要求される品質を満たしていないと、やり直しが発生しコストや工程に悪影響が出るおそれがある - 3.Delivery(工期)
工期が守られないと、プロジェクト全体に影響がおよび品質やコストに悪影響が及ぶおそれがある - 4.Cost(原価)
コストを適切に管理し、利益を確保することが企業存続に欠かせない - 5.Environment(環境)
環境への悪影響を最小限に抑えることが重要だが優先順位は低くなることが多い
ただし、周りの生態系に干渉する・水質や土壌を汚染するリスクがある場合には優先順位があがることがある
施工管理ではまず安全を最優先としたうえで、品質・工期・コスト・環境の順にバランスをとりながら進めることが理想です。
ただし、近隣住民から騒音に関するクレームがあった場合や環境へのリスクが特に高い工事など、状況に応じて優先順位の変更が必要になることに注意しましょう。
QCDSEを構成する5つの要素
QCDSEを構成する5つの要素は次のとおりです。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
要素1. Quality(品質)
Quality(品質)とは、建設プロジェクトが設計図や仕様書に基づいて正確に施工され、期待される性能や耐久性を持つことを指します。
国際的な品質マネジメントシステム(QMS)の規格である「ISO9001」を活用することにより、標準化されたプロセスや継続的な改善手法を導入できるため、施工管理における品質管理の効率化が期待できます。
-
【ISO9001とは】
- ISO9001は、国際標準化機構(International Organization for Standardization)が発行した品質マネジメントシステムの国際規格です。
この国際規格は、品質マネジメントシステム(QMS)の要件を定め、施工工事におけるプロセスの標準化と改善を促進します。これにより、施工の品質を一貫して維持し、顧客満足度の向上が期待できます。ISO9001の適用により、プロジェクトのリスクを低減し、効率的な運営を実現することが可能です。
要素2. Cost(原価)
Cost(原価)は、建設プロジェクトにおいて予算を適切に管理し、無駄を最小限に抑えるための手段です。プロジェクトの開始前に予算を立て、予算に基づいて資材費や人件費などを管理します。また予算オーバーを防ぐために、定期的なコストチェックや調整も行われます。
施工管理ではコストが予算内に収まっているかを常に確認し、必要に応じて対策も必要です。コスト管理について詳細が知りたい方は、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひ、併せてご覧ください。
要素3. Delivery(工程)
Delivery(工程)は、製造業や建設業などで用いられるプロセスの管理方法です。全体の計画から品質管理やコスト管理などを包括的にサポートします。
工程を具体的な計画に落とし込み可視化することにより、リアルタイムでの進捗確認やトラブルの早期発見が可能です。
また、効率的なリソース配分やコミュニケーションの活性化などにもつながり、全体の生産性向上が期待できます。
要素4. Safety(安全)
施工管理におけるSafety(安全)は、現場でのリスクを最小限に抑え、作業員の安全と健康を確保するための取り組みを指します。現場では安全な作業環境の確保が最優先事項であり、災害防止のためのルールや手順の徹底が欠かせません。
安全管理において、ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)は労働災害の防止に効果的です。リスクアセスメントに基づいた安全対策の実施や従業員への安全教育を通じて、安全な職場環境を構築し、法令順守を徹底することができます。また、従業員の安全への主体的な姿勢を後押しすることで、モチベーション向上にもつながります。
-
【ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)とは】
- ISO45001は、労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格で、職場におけるリスクを管理し、従業員の安全と健康を保護するための枠組みです。
この規格は、労働災害の防止や法令順守・作業環境の改善を目指し、企業が労働安全衛生に取り組むための基準を示しています。
組織はISO45001を導入することで、安全な職場環境を確保し、事故や健康問題のリスクを最小限に抑えることが可能です。
要素5. Environment(環境)
施工管理におけるEnvironment(環境)は、工事現場が環境に与える影響を最小限に抑えるための取り組みです。
例えば、企業はISO14001(環境マネジメントシステム)の認証取得を目指し、廃棄物の削減・省エネ・環境負荷の少ない資材の使用などの環境保全活動を促進できます。
ISO14001は、取り組みを体系的に管理し、継続的な改善を続ける枠組みを提供してくれるため、企業は環境リスクの低減や省エネルギーの実現が可能です。また、法令順守と継続的な改善により、企業価値や取引先からの信頼性向上にもつながります。
-
【ISO14001(環境マネジメントシステム)とは】
- ISO14001は、環境マネジメントシステムの国際規格で、企業が環境に与える影響を管理し、改善するための枠組みです。企業は、この規格に基づいた環境リスクの評価・法令遵守・持続可能な経営を実現および環境保護を促進することが求められます。
ISO14001を導入することにより、企業は環境パフォーマンスを向上させ、ステークホルダーからの信頼を高めることが可能です。
QCDSEの管理効率を高める3つのポイント
QCDSEの管理効率を高めるポイントを、3つ紹介します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ポイント1.QCDSEの重要性を全員が理解して実践する
QCDSEの各要素(品質・コスト・工期・安全・環境)を全員が理解し実践することで、プロジェクト全体で一貫した目標と方向性を保てるようになります。全員が同じ目標に向かう取り組みを通じてチームの連携が強化され、より効率的なプロジェクト遂行が可能です。
ポイント2.バランス良く管理する
前述したとおり、QCDSEは、安全を最優先としつつ品質・コスト・工期・環境のバランスを取ることが大切です。
QCDSEの各要素は、互いに影響しあう関係にあります。例えば、コスト削減の努力が品質に悪影響を与えたり、安全対策を怠ることが納期遅延や環境への悪影響を引き起こしたりするおそれもあるのです。
またQCDSEの適切な管理には、技術的な知識だけでなく総合的なマネジメント能力も求められます。多くの人員や工程を効果的に調整し安全性を確保しながら、高品質な建物を完成させることが大切です。
ポイント3.ITツールを活用する
ITツールを活用すると、情報共有や進捗管理・書類作成などの効率化により、QCDSEの改善にもつながります。
QCDSEに活用される主なIT導入補助ツールは次のとおりです。
ビジネスカレンダー | スケジュール管理や予定の共有に使うカレンダー |
---|---|
プロジェクト管理ツール | プロジェクトの進捗管理や情報共有を行う |
ビジネスチャット | 社内コミュニケーションや情報共有に使用する |
ガントチャート(工程表) | プロジェクトの工程や進捗状況を可視化する |
原価管理システム | 複雑な原価計算や実際原価との再分析を行う |
QCDSEを効率化するツールとして、身につけてハンズフリーで撮影できる「ウェアラブルカメラ」の使用もおすすめです。
ウェアラブルカメラについては、次の章で詳しく解説します。
工事現場でのウェアラブルカメラの活用について関心のある方は、下記の記事をご覧ください。
QCDSEの管理に適したウェアラブルカメラ「G-POKE」
株式会社MIYOSHIが提供するウェアラブルカメラ「G-POKE」は、本体重量わずか165gの小型設計であることから、建設現場での装着による負担を軽減します。また高い防水防塵機能を持ち、雨天時や粉塵の舞う環境下でも安定した映像記録が可能です。
その他、G-POKEがQCDSEで役立つ理由を下表にまとめました。
【G-POKEがQCDSE管理に適している理由】
Quality(品質) | ・ライブ映像通話により、施工状況をリアルタイムで確認できるため、品質管理が容易になる
・録画機能を用いて施工手順や技術を確認・分析し、品質の向上につなげられる |
---|---|
Cost(原価) | ・SIMを内蔵しているため、配線工事のコストがかからない
・レンタルカメラで初期費用無料のため、低コストで導入できる |
Delivery(工期) | ・ライブ映像通話やデバイス間通話機能で、本社と現場間のコミュニケーションが円滑になるため、意思決定のスピードアップにつながり、工期短縮につながる |
Safety(安全) | ・身につけて持ち歩き撮影をすることにより、複数人が危険な現場に物理的に立ち入る必要が減り、安全が確保されやすくなる |
Environment(環境) | ・常に身につけていることで、シフト中のほぼすべての時間で環境条件の記録が可能なため、精度の高い環境問題の早期発見につながる
・固定カメラとしても利用できるため、モニタリングにより環境の変化にも対応できる |
G-POKEは1週間無料レンタルを実施中です。性能や操作性が気になる方は、ぜひ下記をクリックのうえ、資料をお気軽にダウンロードしてみてください。
QCDSEの効率化にウェアラブルカメラを活用した事例2選
QCDSEの管理方法は数多くありますが、ウェアラブルカメラを活用すると遠隔地からでも現場の確認や指示ができて効率的です。本章では、QCDSEの効率化にウェアラブルカメラを活用した2つの事例を紹介します。
事例1.東京都北区の護岸災害復旧工事
東京都北区で行われた護岸災害復旧工事では、音声操作機能付きのウェアラブルカメラを活用して、感染症リスクの低減や作業効率の向上に取り組みました。
従来の課題 |
・コロナ禍における感染リスク ・発注者・受注者の移動時間 ・測量機器を用いた確認作業の遠隔化の促進 |
---|---|
取り組み |
・音声操作機能を有するウェアラブルカメラを使用し、ハンズフリーでの映像記録と配信を実現 ・V-CUBEコラボレーションを用いて、映像と音声のリアルタイム配信を行い、遠隔地からの監督・確認を可能にした ・材料確認や段階確認・立会いなどを遠隔で実施し、現場と発注者間のコミュニケーションを強化した |
成果 |
・ハンズフリー操作により、転倒などの危険性を低減しながら必要な作業や計測が実施できたため、作業効率と安全性が向上した ・遠隔臨場により、コロナウイルス感染リスクを低減し、発注者の移動時間も削減できた ・受注者の希望する時間帯での立会いが可能となり、立会い確認がスムーズになった ・大画面に映像を表示することで複数人が同時に立会可能となり、情報共有が促進された |
ハンズフリーで操作が可能となった結果、作業員は両手を自由に使えるようになり、安全性が向上しました。
参考:建設現場における遠隔臨場 取組事例集(第二版)令和5年3月|国土交通省
事例2.兵庫県神戸市の斜面対策工事
兵庫県神戸市の葺合地区で行われた斜面対策工事では、ウェアラブルカメラを活用して高所での作業の安全性と作業効率の向上に取り組みました。
従来の課題 |
・高所作業における安全性の確保 ・移動時間による負担 ・交通事故のリスク ・タイムリーな臨場の実現 |
---|---|
取り組み |
・ウェアラブルカメラをヘルメットに取り付け、確認時に両手を自由に使えるようにした ・カメラのズーム機能などを音声で操作できるように設定し、作業中でもハンズフリーでの操作を可能にした |
成果 |
・両手が自由になることで、高所でのロープ作業中でも安全かつ容易に撮影や確認が可能となり、作業効率と安全性が向上した ・高所や直接目視が困難な場所でも監督職員が容易に状況を確認でき、確認作業の効率が向上した ・監督員は現場に赴く必要がなくなり、移動時間の削減と交通事故リスクの低減につながった ・待機時間がほとんどなく、必要なときにすぐに遠隔での立会や確認が可能となった |
この工事では高所作業が多く含まれていましたが、ウェアラブルカメラの装着により、作業員は両手を自由に使いながらリアルタイムで映像を記録し、遠隔地の監督員と連携できました。ウェアラブルカメラの活用で高所でも監督確認が容易になり、安全性も向上した好例といえるでしょう。
このようにウェアラブルカメラと遠隔監視システムの連携などで、点検業務の省力化(工数軽減や安全管理の精度向上)が可能になります。
参考:建設現場における遠隔臨場 取組事例集(第二版)令和5年3月|国土交通省
参考:建築工事における管理業務の負荷に関する調査研究|日本建築学会
なおウェアラブルカメラなどの技術を活用して、効率的に工事を管理する「遠隔臨場」について下記の記事で詳しく解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。
遠隔臨場カメラとは?おすすめカメラや注意点などを新しい実施要項に沿って解説
ウェアラブルカメラを活用してQCDSEを適切に管理しよう
QCDSEは、建設業界の施工管理において欠かせない要素(品質・コスト・工程・安全・環境)の頭文字を取ったものです。建設現場での安全性を確保し、高品質な建物を実現するためにも、下記のポイントを押さえてQCDSEに優先順位を設定し、適切に管理しましょう。
- QCDSEの重要性を全員が理解して実践する
- バランス良く管理する
- ITツールを活用する
ITツールの活用なら、ウェアラブルカメラもおすすめです。ウェアラブルカメラを活用した遠隔臨場は、遠隔地にいながら現場の作業員の作業状況を把握し、リアルタイムで指示が出せるため、効率化の促進に役立ちます。
株式会社MIYOSHIでは、軽量かつ小型のウェアラブルカメラ「G-POKE」を提供しています。1週間のレンタルも実施しているので、気になる方はぜひ下記をクリックのうえ、無料の資料をダウンロードしてみてください。