防犯カメラの保存期間が過ぎたらどうなる?期間の延ばし方・見たい場合の対処法

防犯カメラの保存期間が過ぎた場合、一般的には古いデータの上に新しいデータが上書きされます。ただし、カメラの保存期間は「記録媒体ごと」と「設置場所ごと」に分かれているため、注意しなければなりません。

そこで本記事では、防犯カメラの保存期間が過ぎたらどうなるか・防犯カメラの保存期間・保存期間を過ぎても映像を見たい場合の対処法について説明します。

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防犯カメラの保存期間が過ぎたらデータは消える

防犯カメラの保存期間が経過すると、新しい映像データが古い映像の上に上書きされます。この過程で、上書きされた部分の古いデータは消去され、新しいデータに置き換わります。

防犯カメラの保存期間を決定する主な要素は2つあり、それぞれの期間を過ぎた後の扱いが異なるため、注意が必要です。

  1. 1.記録媒体ごとの保存期間:使用している記録媒体がデータを保存できる期間
  2. 2.設置場所ごとの保存期間:防犯カメラの設置場所ごとに決められている保存期間

記録媒体ごとの保存期間が過ぎると、最も古い映像データの上に新しいデータが上書きされます。上書きされたデータは基本的に復元できないため、重要な映像は事前に別の媒体にバックアップしておくことが大切です。

設置場所ごとの保存期間については、設置者が場所ごとに決定するため、保存期間が過ぎても映像が残っている可能性があります。ただし、手動でデータを消去していない場合に限ります。

特に注意が必要なのは、公的機関や公共機関が定めた保存期間です。この期間が過ぎると、映像データは消去されます。法令や規則で明確に定められているため、例外なく実施されます。

  1. 録画
  2. 警視庁本部においてサーバに録画され、厳格な管理のもと30日間保存されています。保存期限が過ぎたサーバは自動的に上書きされ、映像データは消去されます。

※出典:街頭防犯カメラシステム 警視庁

適切な防犯カメラの運用には、記録媒体の容量と設置場所の特性を考慮しなければなりません。さらに、法的要件や施設の運用方針についても理解が必要です。

前提|防犯カメラの保存期間は2種類

前述したように、防犯カメラの保存期間は基本的に下記の2つの期間に分かれます。

  1. 記録媒体ごと
  2. 設置場所ごと

設置場所ごとの保存期間の中には、公的・公共機関の保存期間も含まれていますので、確認してみてください。

種類1.記録媒体ごと

記録媒体ごとの保存期間とは、データを保存する記録媒体が保存できる物理的な期間のことです。それぞれの保存期間は、下記のとおりです。

記録媒体 保存期間
SDカード
(128GB)
約15時間
クラウド 契約日数による
HDD
(1TB)
約3日間
SSD
(1TB)
約3日間

 
記録媒体ごとにおおよその保存期間が決まっており、保存期間を過ぎると新しいデータが上書き保存されます。ただし、下記のような要因が影響して、保存期間が前後する点に注意が必要です。

  1. レコーダーの性能:高性能なレコーダーは高画質な映像を録画できる
  2. 画素数:画像を構成する最小単位のこと
  3. フレームレート:1秒間の動画に表示される静止画像(フレーム)の数のこと。日本のテレビは約30fps

画素数やフレームレートを高く設定しているとデータ量が増加するため、上記の日数よりも保存期間が短くなります。

種類2.設置場所ごと

防犯カメラの設置場所ごとに、データの保存期間が決められている場合があります。おおよその目安を表にまとめました。

設置場所 保存期間
自宅 約1週間
コンビニ・商店 約1週間~1ヵ月
駐車場 約1週間~1ヵ月
工場 6ヵ月~2年程度
建設現場・工事現場 6ヵ月~2年程度

 
上記のような設置場所ごとの映像保存期間は、設置者が独自に決定します。この期間設定には設置目的や法的要件・プライバシーへの配慮など、多くの要因が考慮されます。

しかし設定された保存期間内であっても、必ずしも映像が保存されているとは限りません。実際の保存期間は、データの保存場所や記録媒体の容量などの問題で、設定された期間よりも短くなる場合があります。

公的・公共機関の保存期間については、次のとおりです。

街頭 約1ヵ月
市役所 約1ヵ月
警察署 1ヵ月
金融機関 3ヵ月~1年程度
工場 6ヵ月~2年程度
学校 約1ヵ月
病院 約1ヵ月

 
公共の場所に設置された防犯カメラの映像保存期間は、自治体などの管理機関によって定められていることがほとんどです。しかし、重要性の高いデータについては、通常の保存期間を超えて保護される場合があります。例えば、犯罪捜査に関連する映像や、重大な事故の記録などです。

なお、防犯カメラの保存期間について詳しく知りたい方は、次の記事をご確認ください。
防犯カメラの保存期間とは?影響する3つの要素と期間を延ばす方法

防犯カメラの保存期間を延ばす3つの方法と注意点

本章では、記録媒体への保存期間を伸ばす方法について説明します。

  1. 保存容量の大きい記録媒体を選ぶ
  2. 圧縮率の高い記録媒体があるモデルを選ぶ
  3. 防犯カメラの稼働時間を減らす

注意点もセットで解説しているので、チェックしてみてください。

方法1.保存容量の大きい記録媒体を選ぶ

防犯カメラの映像を長く保存しておきたい場合は、容量の大きい記録媒体を選択しましょう。映像データの保存方法は、下記のとおりです。

  1. ローカル保存:データやファイルを自分のコンピューターやデバイスの内蔵ストレージに直接保存する
  2. クラウド保存:インターネットを介してデータを保存する

ローカル保存では、保存期間を伸ばすために機器の増設や記録データの保管場所が必要です。クラウド保存であれば、インターネット上の保存領域を活用するため、保存容量は簡単に増やせます。

注意すべき点を次の項目で説明しますので、併せてご確認ください。

 

【保存容量の大きい記録媒体を選ぶ際の注意点】

防犯カメラのデータ保存には、予想以上のコストがかかる場合があります。大容量の記録媒体を用意すると、初期投資や運用費用が膨らみ、他の分野への投資制限などのデメリットにつながりかねません。

そのため、自社が防犯カメラのデータを保存する理由を明確にし、本当に必要なコストなのかを見極めてから、クラウドストレージの拡張や機器の増設を検討しましょう。

クラウド保存する際は、セキュリティ面にも十分に注意が必要です。インターネットを介してデータをやり取りするため、情報漏洩のリスクが高まります。強力なパスワードを設定したり、データを暗号化するなどの対策がおすすめです。

なお、映像データをクラウド保存できる仕組みについては、次の記事で詳しく説明していますので、ぜひご確認ください。
防犯カメラ・監視カメラの映像をクラウド保存するメリットは?

方法2.圧縮率の高い記録媒体があるモデルを選ぶ

高性能な映像圧縮技術を使用すると、大きい映像データを圧縮して保存できるため、保存期間を伸ばせます。圧縮方式の種類には、下記のようなものがあります。

M-JPEG ・静止画の圧縮方式であるJPEGを動画に適用したもの
・Webカメラや監視カメラなど、リアルタイム性が求められる用途で利用される
・フレーム間の関連性を考慮しないため、動きの激しいシーンでは圧縮効率が低下する傾向がある
MPEG4 ・動画の中で変化した部分のデータだけを効率的に圧縮・送信する
・M-JPEG方式よりも大幅にデータ量を削減できる
・インターネットなど限られた帯域幅でもスムーズな動画再生が可能
H.264 ・デジタルビデオ圧縮の標準として広く受け入れられている
・高い圧縮率を実現し、インターネットストリーミング・ケーブルテレビ放送・ブルーレイディスク・防犯カメラ・ビデオ会議システムなどの用途でも一般的
H.265 ・ITU(国際電気通信連合)に承認された最新の圧縮方式
・H.264に比べて約50%のデータ節約を実現する高い圧縮効率が特徴
・高解像度のビデオストリーミングが効率的

 
防犯カメラの中にも、映像データをリアルタイムで圧縮するものがあります。設置場所によっては、鮮明な映像の撮影が必要な場合があるため、設置目的に合わせて最適な映像データの管理方法を選択しましょう。

 

【圧縮率の高い記録媒体があるモデルを選ぶ場合の注意点】

データ圧縮方式の選択は、防犯カメラの運用に大きな影響を与えます。圧縮率が低い方法を選ぶと、映像の保存期間が十分に確保できないおそれがあります。各圧縮方式によって圧縮率が異なるため、慎重に選択しましょう。

高圧縮率の方式を採用すると、同じストレージ容量でより長期間の映像保存が可能になります。画質・保存期間・ストレージコストのバランスを考慮して、最適な圧縮方式を決定しましょう。なお、防犯カメラの録画方法については、次の記事をご覧ください。
防犯カメラ・監視カメラの録画方法や機能について

方法3.防犯カメラの稼働時間を減らす

防犯カメラの運用時間を調整すると、映像データの保存期間を延ばせます。人の目が行き届く日中は撮影を休止し、夜間のみカメラを稼働させると、運用時間を調整できます。撮影時間を限定すると、データ量が削減され、ストレージの容量に余裕が生まれるためです。

ただし、セキュリティ上の隙がないよう、カメラの稼働スケジュールは慎重に設定する必要があります。状況に応じて柔軟に運用時間を設定し、効率的な防犯体制を構築しましょう。

 

【防犯カメラの稼働時間を減らす際の注意点】

24時間365日の監視が求められる場所では、撮影時間の制限は現実的ではありません。しかし、そのような状況でも効率的な映像記録は可能です。例えば、動体検知機能を搭載したカメラを使用すれば、動きがあった瞬間のみを記録できます。

不要な映像データの蓄積を防ぎ、ストレージ容量の節約が可能です。重要な場面を記録しつつ、データ管理の効率化も図れます。各設置場所の監視目的を十分に検討し、最適な撮影方法を選択しましょう。

防犯カメラの保存期間が過ぎても映像を見たい場合の対処法

防犯カメラの保存期間が過ぎた場合でも、映像を見たい場合の対処法を3つ説明します。

  1. データをバックアップしておく
  2. 残しておきたい映像を保護しておく
  3. クラウドサービスを利用する

一つずつ確認しましょう。

対処法1.データをバックアップしておく

防犯カメラの保存期間が過ぎたら、一般的には古い映像に新しい映像が上書きされていきます。しかし、重要な映像をバックアップしておけば、上書き後も別の記録媒体にデータを保持できます。

バックアップする映像の選択は、カメラの設置目的に基づいて行いましょう。例えば、建設現場では事故や盗難の発生時の映像を優先的にバックアップすることをおすすめします。重要データは、複数の場所に分散してバックアップすると安全性が高まります。

ただし、映像データには個人情報が含まれる場合があるため、適切な管理が不可欠です。紛失や不正アクセスのリスクを最小限に抑えるよう、セキュリティ対策を徹底しながらバックアップを行いましょう。

対処法2.残しておきたい映像を保護しておく

重要な防犯カメラの映像データを確実に保護するには、保護機能の活用が効果的です。SDカードを使用している場合、カード横のロックスイッチを上げるとデータを保護できます。

ロック状態にすると、メモリーカード内のデータは削除されませんが、この状態では新しいデータの記録はできません。そのため、データ保管用のSDカードに適した方法です。重要な映像を長期保存する際は利用してみましょう。

対処法3.クラウドサービスを利用する

大量の防犯カメラ映像データを管理する場合、クラウド保存が有効です。クラウドサービスは契約内容に応じて、大容量のデータ保存が可能なため、録画容量を気にせずに長期間の映像保存が実現できます。

ローカルストレージと比べ、ハードウェアの制限を受けにくいのが大きなメリットです。また、クラウド保存では遠隔地からのアクセスも容易で、必要な時にすぐに映像を確認できます。

なお次の記事では、防犯カメラの映像を見る方法について説明しています。クラウド保存した映像を確認する方法も記載していますので、ぜひご覧ください。
防犯カメラの映像はどうすれば見られる?スマホで見る方法や開示請求について

防犯カメラの保存期間が過ぎた場合の対策を考えよう

今回は、防犯カメラの保存期間が過ぎた場合に起こることや、保存期間を伸ばす方法などを説明しました。防犯カメラの保存期間は、基本的に下記の2つの期間に分かれます。

  1. 記録媒体ごと
  2. 設置場所ごと

それぞれの設置場所によって保存期間が異なるため注意が必要です。もし、保存期間が過ぎた後も映像を確認したい場合は、下記のような方法で対策をしましょう。

  1. データをバックアップしておく
  2. 残しておきたい映像を保護しておく
  3. クラウドサービスを利用する

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