IRカメラとは?概要とカメラの選び方・4つの搭載機器の使用例

更新日:2024.10/31 公開日:2024.10/26

IRカメラとは、赤外線を利用して映像を撮影できるカメラのことです。IRカメラを搭載した機器はさまざまなので、特徴を理解しておかないと自身に合ったIRカメラを選べません。

そこで本記事では、IRカメラの基本的な仕組み・IRカメラ搭載機器の用途・おすすめIRカメラ(防犯カメラ)について説明します。

なお、株式会社MIYOSHIでは、赤外線機能を搭載したカンタン監視カメラ「G-cam」のレンタルを実施しています。最大50mの赤外線照射が可能なG-camの詳しい資料は、下記のボタンをクリックのうえダウンロードしてみてください。

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記事の後半では、IRカメラを搭載したPCなどの使用例についても説明していますので、ぜひ最後までご覧ください。

IRカメラの基本的な特徴と仕組み

IRカメラの基本的な特徴と仕組みを理解するために、次の内容を説明します。

さっそく、見ていきましょう。

IRカメラとは赤外線を利用して撮影するカメラのこと

IRカメラは、人間の目では見えない「赤外線」を利用して物体を撮影する装置です。

IRという略称は、赤外線の英語表記「Infrared」に由来しています。Infraredは「下」を意味するinfraと「赤」を表すredから構成されています。

人間は、赤色よりも長い波長の電磁波を見ることができません。そのため、可視光である赤色の外側に位置する電磁波という意味で「赤外線」と呼ばれるようになりました。

※出典:学研さんと「モーションIRカメラ」のヒミツについて調べてみました。 | トピックス | Nintendo

赤外線は、絶対零度(約-273度)より高い温度のすべての物体から放出されます。IRカメラはこの特性を利用し、周囲の赤外線を検知したり、自ら赤外線を照射してその反射をとらえたりして撮影をします。

IRカメラの種類は、主に下記の2つです。

  1. 1.アクティブカメラ:赤外線LEDなどで赤外線を照射して映像を撮影する
  2. 2.パッシブカメラ:周囲から自然に放射される赤外線を利用して撮影する

IRカメラの最大の特徴は、光がまったくない暗闇でも撮影が可能な点です。そのため、夜間や暗所での撮影に適しており、防犯カメラなどで広く利用されています。

現在では、防犯以外にもさまざまな分野でIRカメラの活用が進んでいます。IRカメラの具体的な使用例については、「IRカメラを搭載している機器の4つの使用例」で詳しく解説しますので、ぜひチェックしてみてください。

なお、赤外線カメラの仕組みを詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。
赤外線カメラの仕組みとは?メリットや選び方、注意点を解説

IRカメラと類似した暗視カメラとの違い

IRカメラと類似したものに「暗視カメラ」があります。防犯カメラの例を見ながら、両者の違いを確認してみましょう。2つのカメラの違いは、下表のとおりです。

暗視カメラ IR(赤外線)カメラ
光源の必要性 豆電球ほどの光源が必要 光源は不要
映像のカラー あり なし(白・黒)
適した場所 街灯のある屋外や常夜灯のついている場所での監視に適している 街灯のない建設現場や工事現場、野外での野生生物の監視など

 
暗視カメラとIRカメラの大きな違いは、「光源が必要か」どうかです。暗視カメラは、豆電球ほどの明るさが必要で、完全な暗闇での撮影はできません。

一方、赤外線を利用して撮影するIRカメラは、光のない暗闇でも映像を撮影できます。なお、暗視カメラの詳しい仕組みやIRカメラとの違いをさらに知りたい方は、次の記事をご覧ください。

暗視カメラとは?仕組みやメリット、赤外線カメラとの違いを紹介

IRカメラの見え方

IRカメラの見え方について、防犯カメラの映像で確認してみましょう。次の映像は、赤外線機能のある防犯カメラ「G-cam」で撮影した映像を、昼夜で比較したものです。

▲日中に監視カメラで撮影した映像

▲夜間に赤外線機能を使用して撮影した映像

IRカメラでは、上記のように白黒での撮影が可能です。光のない暗闇の中でも状況をハッキリ確認できるため、夜間の監視も適切に行えます。

なお、下記の記事では赤外線機能について詳しく説明していますので、ぜひチェックしてみてください。
防犯カメラの赤外線機能とは?おすすめのカメラや4つの選ぶポイントを解説

IRカメラの3つのメリット

防犯カメラに搭載されているIRカメラメリットは、主に次の3つです。

    【IRカメラの主なメリット】

  1. 1.夜間や暗所での撮影ができる
  2. 2.隠れた物体の可視化ができる
  3. 3.赤外線LEDが光るカメラでは防犯効果が高まる

光源もない場所でも、赤外線の照射距離範囲であれば、監視対象を撮影できる点がメリットです。また、温度を感知できるIRカメラでは、身を潜めた不審者や、近年農作物被害などで問題になっている野生動物の可視化もできます。

赤外線の照射中にLED電球が点灯する防犯カメラでは、カメラの存在を知らせる視覚的な警告として機能し、不審者を寄せ付けない点もメリットです。

このように暗闇の映像を撮影するだけでなく、機種によっては視覚的な警告ができるなど、さまざまなメリットがあります。

おすすめのIRカメラ3選(防犯カメラ)

ここで、おすすめのIRカメラを3つ紹介します。

  1. カンタン監視カメラ「G-cam」|株式会社MIYOSHI
  2. VB-M741LE(H2)|キヤノン株式会社
  3. M1075-L Box Camera|AXIS

さっそく見ていきましょう。

おすすめ1.カンタン監視カメラ「G-cam」|株式会社MIYOSHI

出典:株式会社MIYOSHI

 

商品名 カンタン監視カメラ「G-cam」
特徴 ・暗闇で最大50m先まで撮影可能
・周囲の光を感知して、モード切り替えできる
・IP66の防塵防水機能あり
・レンズ横回転最大350°、縦回転最大90°で真下・真後ろまで監視可能
・撮影した画像はブラウザで視聴可能
・電話やメールでのサポートも充実
費用 30GBプラン 9,800円/月
無制限プラン 18,000円/月
所有形態 レンタル

G-camは、赤外線機能を搭載した高性能な監視カメラです。最大50m先まで赤外線を照射できるため、夜間でもサッカーコートの半分ほどの範囲を監視できます。

また、周辺の光量を検知する機能があるため、周囲が暗くなると自動で赤外線モードに切り替わります。さらに自動色補正により、昼夜を問わず鮮明な画像の撮影が可能です。

G-camは、導入実績が累計27,000現場を突破しました。多くの現場でご好評いただいているG-camの詳しい資料は、次のボタンをクリックのうえ、ご確認ください。

 

 

おすすめ2.VB-M741LE(H2)|キヤノン株式会社

出典:キヤノン株式会社

VB-M741LE(H2)は30mの赤外線照射距離を持ち、スーパーUDレンズによって赤外照明に起こりやすいピントズレを抑えた監視が可能です。

親水コーティングを搭載しているため、雨水の乱反射が起こりにくく、降雨時の視認性が高いのも特徴です。

動体検知やいたずら検知、持ち去り検知など、さまざまな検知機能を備えており、高度な監視機能を持っています。

おすすめ3.M1075-L Box Camera|AXIS

出典:M1075-L Box Camera|AXIS

IR補正レンズを備えており、昼夜の撮影が可能なカメラです。コンパクトなカメラで、屋内の使用に適しています。パッシブ赤外線センサーにより、完全な暗闇での撮影も行えます。

スピーカーとデュアルマイクを備えているため、双方向の音声通信が可能です。不正アクセス防止機能が備わっており、撮影した映像を保護できる点も強みです。

IRカメラの4つの選び方

自分に合った防犯カメラを選ぶには、適切な選び方を知っておかなければなりません。そこで本章では、次の内容に沿った選び方をお伝えします。

  1. 用途に合ったIRカメラか
  2. 赤外線の照射距離が適切か
  3. 防塵防水機能はあるか
  4. PCやスマートフォンなどで映像を確認できるか

ひとつずつ確認していきましょう。

選び方1.用途に合ったIRカメラか

IRカメラを選ぶ際は、具体的な用途の明確化が重要です。IRカメラを使う場所や目的によって、適切な機器を選びましょう。

例えば屋外の防犯・監視が目的の場合、屋内用のIRカメラを使用すると、赤外線の照射ができず監視対象を適切に撮影できないことがあります。

一方で屋外用IRカメラは過酷な環境に耐える設計で、作動できる温度範囲も広く設定されているなど、設置環境に応じた機能と耐久性を備えています。ただし屋内で屋外用のIRカメラを使うと、コストが高くなったり設置スペースに制限があったりと、さまざまな問題が起きかねません。

そのため、IRカメラを設置する前には、設置場所や目的を確認してから、適切な機種を選択しましょう。

選び方2.赤外線の照射距離が適切か

IRカメラでは、赤外線を照射して映像を撮影する機種がありますが、種類によって照射できる範囲が異なります。赤外線機能のあるカメラを選ぶ際は、照射距離の確認が必要です。

防犯カメラを例に、赤外線の照射距離について確認しましょう。

  1. 一般的なカメラ:15m程度
  2. 屋外用カメラ:20〜30m程度
  3. 長距離監視用カメラ:150m程度

ただし、次のような場所では、赤外線がうまく照射できない場合があります。

  1. 防犯カメラを壁に近づけすぎている
  2. 窓ガラスの多い場所に設置している
  3. 赤外線LEDに虫が付着している

赤外線は固形物を通過できない特性があり、近くに壁がある場合は夜間の撮影が困難です。また、窓ガラスに近い場所では、赤外線が反射するおそれがあります。反射すると映像が白飛びして適切に撮影できないため、窓ガラスの近くに設置するのは避けましょう。

またカメラを屋外に設置してある場合、虫の発生が多い夏場は赤外線LEDの光に寄ってくる虫が多くなるため、映像に影響を及ぼすおそれがあります。照射距離だけでなく、撮影環境にも注意しましょう。

選び方3.防塵防水機能はあるか

屋外にIRカメラを設置する際は、屋外の厳しい環境でも耐えられる防塵防水機能の高いものを選びましょう。防塵防水機能は、IEC(国際電気標準会議)およびJIS(日本産業規格)が定める保護等級が参考になります。

IP66は、台風などの激しい雨でも浸水のおそれがないと言われている等級です。カメラの設置場所によって、カメラの保護等級を確認しましょう。

なお、防塵防水機能の等級について詳細を知りたい方は、次の記事も併せてチェックしてみてください。
防塵防水機能IP66とは?等級による違いを分かりやすく解説

選び方4.PCやスマートフォンなどで映像を確認できるか

IRカメラで撮影した映像は、その場ですぐに確認できるかも重要なポイントです。

例えば、株式会社MIYOSHIがレンタルを提供しているG-camは、「Gview」により、撮影した映像をPCやスマートフォンですぐに確認できます。「Gview」とは、G-camの機能の一つで、再生以外の便利な機能を搭載したブラウザ管理システムです。

「Gview」にログインすると、LIVE映像のリアルタイム確認に加え、タイムバーで過去映像の視聴も可能です。そのため、現在の状況把握と過去の記録確認を柔軟に行えます。


▲Gviewカンタン操作マニュアルの一場面

場所や時間を選ばずアクセスでき、日常業務を妨げることなく必要な情報を収集できるのも特徴です。

迅速な映像確認ができるGviewは、G-camのレンタルで使用可能です。G-camについては、下記のボタンから詳細をご確認ください。

 

IRカメラを使用する際の4つの注意点

IRカメラを使用する際の注意点は、下記のとおりです。

  1. 1.個人情報保護法
  2. 2.赤外線の照射距離
  3. 3.赤外線LEDの寿命
  4. 4.レンズへの虫の付着

IRカメラを搭載した防犯カメラを設置する際は、個人情報保護法に基づき、カメラ使用の明示が必要です。

参考:個人情報の保護に関する法律|G-GOV 法令検索
参考:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)|個人情報保護委員会

設置の際は次のようなステッカーを貼り、法令への対策をしましょう。

赤外線を照射するタイプの防犯カメラの場合は、照射距離の確認も必要です。監視エリアを確認し、撮影対象まで照射できるのかチェックしておきましょう。また、赤外線照射用LEDには寿命があるため、定期的な状態確認と必要に応じた交換が必要です。

屋外設置の場合、赤外線LEDが光るタイプは虫を引き寄せるおそれがあり、カメラの機能を妨ぎかねません。虫の発生が多い夏場は、カメラレンズの清掃を定期的に実施するなどの対策をしましょう。

なお、次の記事では「監視カメラ作動中」のステッカーを貼った場合のメリットや効果について説明しています。併せてご確認ください。
「防犯カメラ作動中」のステッカー・看板は必要?メリットや効果を解説

IRカメラを搭載している機器の4つの使用例

IRカメラの利用用途はデバイスごとに異なります。本章では、下記の4つのデバイスと活用方法を紹介します。

  1. PC
  2. ゲーム機器
  3. スマートフォン
  4. 防犯カメラ

PCでは「Windows Hello」についても触れています。気になるものからチェックしてみてください。

使用例1.PC

PCには、Webカメラ(※)に加え、IRカメラが搭載されている機種があります。PCにおけるIRカメラの主な用途は、次のとおりです。

  1. 顔認証をしてPCのシステムにログインする
  2. 重要なデータを確認する際のロックを解除する

(※)PCに接続してリアルタイムで映像を転送・配信できる小型のカメラ装置のこと。PCに内蔵されているものもある。

従来のロック解除方法には、次のような方法がありました。

  • パスワードを手動で入力する
  • Webカメラで顔認証を実施する(2D)

しかし、Webカメラでの顔認証は、顔写真でセキュリティを突破されたり、パスワードの手動入力が盗み見られたりと、セキュリティ面の課題となっていました。このような問題の解消に、IRカメラの機能が役立っています。

 

「Windows Hello」の例を見てみましょう。Windows Helloとは、Windowsデバイスにログインする際、下記のような生体認証やPINコードを使用するMicrosoftの認証技術のことです。

  • 顔認証
  • 指紋認証

パスワードの入力が不要なため、管理の手間や情報漏洩の危険性が減り、セキュリティの強化が期待できます。ただし、顔認証でサインインするためには、IRカメラを使用したHello互換のカメラを搭載したPCが必要です。

※参考:使ってみよう! Windows Hello – Microsoft atLife

※出典:HP LIVEサポートナビ
IRカメラ搭載PCでは、Webカメラの横にIRカメラが配置されています。

赤外線機能で顔の奥行きを立体的にとらえられるため、本人確認の精度が向上し、セキュリティ機能が高くなりました。IRカメラの機能によって、より安全で便利な認証が可能です。

使用例2.ゲーム機器

IRカメラの導入で、新しいゲームの遊び方が生まれています。「Nintendo Switch」のJoy-Conには、物体認識と距離測定を目的としてIRカメラが搭載されています。

※出典:学研さんと「モーションIRカメラ」のヒミツについて調べてみました。 | トピックス | Nintendo

IRカメラがあるJoy-Conを口に向けてパクパクと動かすと、動きに合わせてサンドイッチが減っていく「大食いコンテスト」というゲームが人気です。

この仕組みは、Joy-ConのIRカメラから赤外線を照射し、その反射で口の動きをとらえるものです。前もって「口の動きとはこのようなもの」というプログラムをしておき、プレイヤーの口の動きを精密にとらえてゲーム内に反映しています。

このように、IRカメラ技術はすでに身近な機器に組み込まれ、日常的に使用されているのです。

使用例3.スマートフォン

スマートフォンにもIRカメラが搭載されています。

例えば「iPhone」の画面ロック解除機能である「Face ID」は、iPhone上部のカメラで赤外線を照射し本人確認をします。顔認証ができたら、画面のロックを外すという仕組みです。

※出典:企業広告シリーズ「世界は、ひとつずつ変えることができる。」 ~「顔認証・半導体材料技術」篇~ TVCM放映のご案内 | 富士フイルム [日本]

スマートフォンでも、IRカメラを用いて、パスワードに頼らない強固なセキュリティを実現しています。なりすましを防ぎつつ、簡単で安全な本人確認が可能です。

使用例4.防犯カメラ

防犯カメラにも、赤外線機能を搭載したものがあります。防犯カメラには、屋内用や屋外用などの種類があり、次のような場所で利用されています。

  1. 工事現場や建設現場
  2. 工場や倉庫
  3. コインパーキング
  4. 野生生物の生態観察
  5. ペットや子どもの見守り

赤外線機能によって、夜間や暗所などの暗闇でも撮影・監視が可能です。

近年では防犯対策として導入するだけでなく、作業の進捗管理などさまざまな目的で導入する場合があります。IRカメラは、夜間に現場で問題が起こっても、現場まで出向かずに状況を確認できる点がメリットです。

株式会社MIYOSHIがレンタルを実施しているカンタン監視カメラ「G-cam」も、赤外線を照射し夜間監視ができるカメラです。

最大50mの赤外線照射が可能で、屋外撮影に適した高い防塵防水機能を搭載しています。さらに、ブラウザ管理システム「Gview」を使用すると、現場・本社・営業所など地域ごとにグルーピングして管理できます。撮影した映像は、ブラウザで簡単に視聴が可能です。

建設現場だけでなく、海岸イベントの使用例もある「G-cam」の詳しい資料は、次のボタンからご覧ください。

 

 

IRカメラの特性を知って用途に合った製品を選ぼう

IRカメラとは、赤外線機能を使用して映像を撮影するカメラです。カメラから赤外線を照射する機能や、周囲から自然に放射される赤外線を検知して撮影する機種があります。

IRカメラの最大の特徴は、光のない暗闇でも映像を撮影できる点です。類似したカメラに「暗視カメラ」がありますが、暗視カメラは光源のない場所での撮影には向いていません。

また近年では、次のような機器でもIRカメラを搭載しており、セキュリティ面の向上だけでなく、楽しみの幅を増やすことにも役立っています。

  1. PC
  2. ゲーム機器
  3. スマートフォン
  4. 防犯カメラ

今後も、新たな用途や機能の登場が期待されます。IRカメラの基礎を理解し、自身の使用目的に合わせて機器を選択しましょう。

なお、次の記事では、防犯カメラで夜間に撮影できない原因と対処法をお伝えしていますので、併せてご確認ください。
防犯カメラで夜に映らない問題を解決!2つの有効機能や対策を紹介