建設業の2024年問題とは?課題と根本的な対策・取り組み事例も解説
建設業の2024年問題とは、2024年4月1日から「働き方改革関連法」が建設業にも適用されたことで、業界全体が抱えるようになった課題を指します。少子高齢化による人材不足や長時間労働の規制の影響で、2025年以降も問題は長期化すると予想されているのが現状です。
本記事では課題の背景を整理し、これからの建設業界に必要な取り組みを事例とともに詳しく解説します。
建設業の2024年問題を解消するには、建設現場でもITツールの活用が欠かせません。株式会社MIYOSHIが提供するカンタン監視カメラ「G-cam」は、モバイルSIMと設定済みルーターを内蔵しており、複雑なネットワーク設定が不要です。
電源を入れるだけで、すぐに現場でも活用できる手軽さが特徴で、業務の効率化や作業員の安全確保にも役立ちます。「G-cam」の詳細が気になる方は、下記より資料をダウンロードしてみてください。
建設業の2024年問題とは
建設業の2024年問題とは、2024年4月1日から建設業界や物流業界にも適用された「働き方改革関連法」によって生じるさまざまな問題のことです。
例えば、次のような問題が挙げられます。
- 【建設業における2024年問題】
- 時間外労働の上限規制が適用され、長時間労働の是正が必要になる
- 人手不足が深刻化し、労働力の確保が困難になるおそれがある
- 人件費の増大が予想され、企業の経営に影響を与えるおそれがある
- 工期の適正化が求められ、無理のある工期設定を見直す必要がある
- 若手人材の確保と技術・技能の継承が急務となっている
これらの課題は、「働き方改革関連法」が建設業にも適用された2024年を契機として顕在化したものの、多くは建設業界が長年抱えてきた構造的な問題に根ざしています。
つまり、2024年問題は単なるきっかけであり、これを乗り越えるためには中長期的な取り組みが欠かせません。
なお規制内容は異なりますが、「働き方改革関連法」は建設業だけでなく、医療業界や物流業界にも同時期に適用されています。
働き方改革関連法の概要
「働き方改革関連法」とは、労働者の多様な働き方を推進し、長時間労働の是正や公正な待遇の確保を目的として制定された法律の総称です。
主なポイントは次の3つです。
時間外労働の上限規制 | 残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできない |
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年次有給休暇の取得義務化 | 年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させること |
雇用形態に関わらない公正な待遇の確保 | 正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに、不合理な待遇差を設けることを禁止する |
働き方改革関連法は労働者の権利を守るだけでなく、企業にとっても労働環境を見直し、生産性を向上させるきっかけとなることが期待されています。
建設業界が抱える主な5つの課題
ここで、建設業が抱える主な5つの課題を解説します。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
課題1.長時間労働の常態化
建設業界では、長時間労働が常態化しています。
下記は、一般財団法人日本建設業連合会が、厚生労働省の毎月勤労統計調査に基づいて作成した建設業・製造業・調査産業計(日本標準産業分類に基づいた16の産業)の労働時間の推移を表したグラフです。
この中の赤線が建設業界です。他の業界と比較して長時間労働が常態化しており、時間外労働に依存していることが明らかとなっています。
出典:建設業デジタルハンドブック 労働時間の推移|一般社団法人日本建設業連合会
2023年の建設業の労働時間は、調査産業計に比べて年間約250時間多いことが判明しました。
建設業は時間外労働の上限規制への対応を迫られていることから着実に減少していますが、他産業と比較すると依然として労働時間が長いのが現状です。
課題2. 人手不足の深刻化
人手不足の深刻化も建設業の課題の一つです。下記は、一般財団法人日本建設業連合会が、経済産業省の「労働力調査」をもとに作成した「建設業就業者数の推移」のグラフです。
出典:建設業デジタルハンドブック 建設業就業者数の推移|一般社団法人日本建設業連合会
就業者数が年々減少し、ピークである1997年の685万人に比べて、2023年時点では483万人まで落ち込んでいます。建設技能者に至ってはピーク時(1997年464万人)比66.2%の307万人でした。
また、建設業労働者の30%以上が55歳以上で、熟練工の退職が増加しているのに対して、建設業への新規入職者数が過去10年間で約20%減少しています。
就業者数の減少の原因の一つとして、建設業の 「3K(きつい・汚い・危険)」のイメージが若者の参入を妨げている点が考えられます。
課題3. 高齢化の進行
高齢化が進んでいる点も、建設業界の課題です。
下記は前項と同じく、一般財団法人日本建設業連合会が、経済産業省の「労働力調査」をもとに作成した「建設業就業者の高齢化の進行」のグラフです。
出典:建設業デジタルハンドブック 建設業就業者の高齢化の進行|一般社団法人日本建設業連合会
建設業就業者は、2023年には55歳以上が約36%、29歳以下が約12%となり、全産業と比べ高齢化が著しく高くなっています。
建設業の生産体制を将来にわたって維持していくためには、若年者の入職促進と定着による世代交代が欠かせません。
課題4.工期の不適切な設定
実はほとんどの建設現場で、工期の日数不足が認識されてます。
参考:建設工事における 適正な工期の確保に向けて|国土交通省不動産・建設経済局建設業課
余裕のない工期の設定が多いことで、竣工が遅れないよう早出・残業や休日出勤を重ねるなど、工事に携わる人々が長時間働かざるを得ない状況が顕著に見られます。
適切な工期が確保できないため、他の産業ではすでに定着している週休2日制の導入が建設業では遅れているのが現状です。
またゆとりのない工期は、長時間労働による疲労やスピードを優先した施工により、ミスや品質の低下を招きます。
課題5. 時間外労働の上限規制適用によるコストやリスクの増加
残業時間の上限規制により、同じ仕事量をこなすために人員の増加は一つの手段です。しかし、労働力不足への対応として「給与アップや手当の増加」が求められるため、労働単価の上昇が予想されます。
上限規制に違反した場合は罰則(6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金)のリスクもあります。
建設業の2024年問題を解決へ導く根本的な4つの対策
建設業の2024年問題を根本的に解決するための施策を、4つ紹介します。
問題にどのように取り組めばいいかお困りの方は、ぜひチェックしてみてください。
対策1.労働時間の管理の徹底
2024年4月に施行された時間外労働の上限規制に対応するため、企業は労働時間の正確な把握と適切な管理が必要です。勤怠管理システムを導入し、リアルタイムでの労働時間の記録を行うことで、徹底した法令遵守ができるようになります。
対策2. 人材の確保と育成
新たな人材を確保するためには、魅力的な労働環境を提供し、若手の育成に力を入れることが欠かせません。そのための対策として、次のようなことが挙げられます。
魅力的な職場環境の整備 |
・労働時間の短縮・休日の確保・福利厚生の充実を図り、長時間労働を改善する ・長時間労働の改善で建設業のイメージである「きつい・汚い・危険」を払拭できるようになる |
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若手育成プログラムの導入 |
・新入社員向けの研修やメンター制度を設け、若手がスキルを身につけやすい環境を提供する ・先輩社員が指導することで、技術の継承や職場の人間関係の改善にもつながる |
採用活動の強化 |
・大学や専門学校との連携の強化や、インターンシップや職場見学などで若者に建設業の魅力を直接伝える機会を増やす ・SNSやオンラインプラットフォームを活用して、建設業の魅力を広く発信する |
キャリアアップ支援の強化 |
・給与や待遇の見直しに加え、資格取得支援やスキルアップ研修を充実させ、成長意欲のある社員をサポートする ・若手社員の意見を反映した柔軟な働き方の導入により、働きがいの向上と定着率の改善が期待できる |
建設業界全体の魅力を高めることがポイントです。
対策3. 建設DXの推進
業務プロセスの見直しや効率化を図るために、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しましょう。例えば、下記のようなツールが活用できます。
- プロジェクト管理ソフト
- 建物の情報を3次元モデルで表現できるBIM
- ドローン
- 温度、湿度、振動などを計測し、データを収集できるIoTデバイス・センサー
- VR/AR
- 監視カメラ など
デジタルツールの積極的な活用で、無駄な時間を削減し生産性の向上や労働時間短縮が期待できます。建設現場や工事現場のDX推進については、下記の記事で紹介しています。併せてご覧ください。
現場DXとは?社会的背景から現場の課題・活用事例まで徹底解説!
対策4. 安全管理の強化
労働者の安全を確保するために、安全管理体制を強化しましょう。
定期的な安全教育や訓練を実施し、事故を未然に防ぐための対策や、現場での安全管理をデジタル化し、リアルタイムでのリスク管理を行うことも効果的です。
このように、建設業の2024年問題に対応していくためには、労働環境の改善やツールの活用による業務効率化が欠かせません。
一例として、建設現場や工事現場では、インターネットに接続できる監視カメラを活用して、現場のDX推進や安全確保に努める動きがあります。
インターネットを経由して監視カメラを利用できるようになると、遠隔地からでも現場の進捗を把握できたり、従業員の安全確保に努めたりできるようになります。
そこで建設現場や工事現場の効率的な安全管理におすすめしたいのは、株式会社MIYOSHIがレンタルを実施しているカンタン監視カメラ「G-cam」です。
- 【建設現場や工事現場に「G-cam」がおすすめな理由】
- IP66相当(※)の防塵・防水機能の搭載で、過酷な環境下でも利用できる
- モバイルSIMと設定済みルーターを内蔵しているため、煩わしい設定をしなくてもすぐに監視できる
- レンズ横回転最大350°・縦回転最大90°のカメラを搭載し、真下・真後ろまでくまなく監視できる
- 赤外線カメラにより、夜間でもクリアな画像で撮影できる
- 光学4倍ズームレンズにより、離れた場所でも鮮明に撮影できる
(※)電気機器の防塵・防水性能を示す国際的な規格の一つ
「G-cam」は1週間の無料レンタルを実施しています。実際に現場で使用してみてから1ヵ月ごとにレンタルしていただくことも可能です。
初期費用0円、月額9,800円(税抜)からご利用いただける「G-cam」についての詳細は、下記から資料をダウンロードしてチェックしてみてください。
監視カメラを用いた働き方改革の事例2選
本章では、株式会社MIYOSHIがレンタルを実施しているカンタン監視カメラ「G-cam」を活用して2024年問題に取り組んだ企業の事例を紹介します。
自社の課題と照らし合わせ、解決へのきっかけとなれば幸いです。
事例1.作業員の安全確保や業務効率化を促進|清水建設株式会社様
清水建設株式会社様は、革新的技術とサステナビリティに注力し、未来の都市開発や建設業界の課題解決に尽力しています。
清水建設様のG-camを導入した目的や背景、導入したことによる成果は次のとおりです。
目的 | ・多拠点での施工状況をリアルタイムで監視し、効率的な施工管理を実現したい |
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背景 |
・建設業の2024年問題では、働き方改革にともなう時間外労働の規制が厳格化される一方で、熟練技能者の減少や現場環境の複雑化の問題が浮き彫りになっていた ・現場管理の効率化とリモート対応の必要性を痛感し、従来の管理手法からの脱却を図るためG-camの導入を決定した |
成果 |
・G-camによるタイムラプスやリアルタイム映像の活用により、現場での状況確認が容易になり、移動時間やコストが大幅に削減した ・不審者侵入や資材盗難のリスクを低減し、24時間体制の監視で安全性が確保された ・設置が容易なG-camにより、初期投資を抑えながら短期間の現場管理が可能になった |
参考:導入いただいたお客様のお声|清水建設株式会社様
清水建設様は効率的な施工管理と安全対策を両立させ、2024年問題を見据えた現場運営の最適化を推進しました。
事例2. 従業員の休日稼働の減少と防犯対策|株式会社キタムラ建設様
大阪や東京に拠点を持つ総合建設業・一級建築士事務所の株式会社キタムラ建設様は、大型店舗やマンションの新築や改修などで事業を拡大しています。
キタムラ建設様は、現場の業務効率化や安全管理・防犯などの目的でG-cam04を導入しました。
目的 |
・安全確認のために現場監督が休日出勤するなどの状況を改善し、働き方改革を促進したい ・事務所と現場の往復時間や連絡の手間などを削減し、業務を効率化したい ・現場の防犯に努めたい |
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背景 |
・安全確認のための休日出勤や遠隔地への移動など、現場監督の業務負担が大きくなっていた ・建設現場は施錠をしないケースが多く、防犯リスクが高かった |
成果 |
・事務所から現場を確認できるようになり、業務負担が減少した ・G-cam04で撮影した映像を作業員の会社用スマートフォンに転送できるようになったため、作業員の安全確保や業務効率化につながった ・G-cam04による24時間監視が可能になったため、防犯リスク軽減につながった |
G-cam04の導入により、現場管理の効率化と防犯強化を同時に実現し、キタムラ建設様の働き方改革と安全管理の大幅な改善につながりました。
【参考】2024年問題に関する最新情報
最後に、2024年問題に関する最新情報を紹介します(2024年12月時点)。
建設業の2024年問題、いわゆる「担い手不足」の深刻化に対し、厚生労働省と国土交通省が令和7年度予算で本格的な対策を打ち出しました。
主な取り組みは次のとおりです。
【厚生労働省および国土交通省の主な取り組み】 | |
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人材確保 |
建設業への就職や定着を促すための支援を実施 ・建設事業主などに対する助成金支援 ・ハローワークにおけるマッチング支援 |
人材育成 |
若者技能者などを育成するための環境整備 ・中小建設事業主などへの支援 ・建設分野の職業訓練の実施 |
魅力ある職場作り |
技能者の処遇を改善し、安心して働ける環境の整備 ・働き方改革推進支援助成金による支援 ・働き方改革推進支援センターによる支援 |
※すべての項目において「働き方改革などによる建設業の魅力向上」が含まれる
参考:建設業の人材確保・育成に向けて(令和7年度予算概算要求の概要)|国土交通省・厚生労働省
厚生労働省と国土交通省は、今後も連携して建設業の人材確保および育成に取り組む方針を示しています。
働き方改革と業務効率化で一歩ずつ建設業の2024年問題に取り組もう!
建設業の2024年問題とは、2024年4月1日から「働き方改革関連法」が建設業にも適用されることで生じるさまざまな課題です。
本記事で紹介した対策や事例での取り組みを参考に、働き方改革関連法への対応と業務効率化を一歩ずつ進めていきましょう。
- 【建設業における2024年問題への主な対策】
- 労働時間の徹底管理
- 人材の確保と育成
- 建設DXの推進
- 安全管理の強化
なお、現場DXの推進には、インターネットに接続できる監視カメラを活用する手段もあります。
例えば、株式会社MIYOSHIが提供するG-camは、煩わしい設定不要で届いたその日に監視が開始できるカンタン監視カメラです。離れた場所にいても、リアルタイムで現場の状況を把握できるので業務効率化や作業員の安全確保・防犯にも役立ちます。
アプリダウンロードは不要で、ブラウザでも簡単に見ることができる「G-cam」の詳細が気になる方は、下記のボタンより資料をダウンロードしてみてください。