建設業の新4Kとは?4つの要素や推進の背景・取り組みを解説

人手不足が深刻化する建設業界で、今注目されているのが「新4K」です。
新4Kとは、「きつい・汚い・危険」のイメージが先行しがちな業界に、「給与・休暇・希望・かっこいい」の4つの視点から着目し、若手人材の確保や働き方改革を目指す取り組みをいいます。

本記事では、国土交通省が推進する「新4K」実現に向けての政策や取り組みのポイントなどを紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
なお、建設業界のイメージ改革に関する用語には「新3K」もあります。興味のある方は下記の記事も参考にしてみてください。

新4Kとは「給与・休暇・希望・かっこいい」で建設業を変える取り組みのこと


「新4K」とは、「給与」「休暇」「希望」「かっこいい」の4つの視点から建設業界を見直し、働く人にとって魅力的な業界へと変えていく取り組みのことです。本章では、次の2つのことについて解説します。

  1. 新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)の意味とは
  2. 従来の3K(きつい・汚い・危険)との違い

従来の「3K(きつい・汚い・危険)」のマイナスイメージが根強く残るなかで、業界全体としてイメージ刷新と環境改善を進めようとする動きが広がっています。

新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)の意味とは

「新4K」とは、次の4つの視点に基づいています。

新4Kの要素意味・目的主な取り組み例
給与賃金を適正に引き上げ、働きに見合った報酬を確保する
  • 賃金水準の見直し
  • 賞与の改善
  • 技能評価による昇給制度
  • 休暇休暇を取得しやすい環境を整え、ワークライフバランスを実現する
  • 年間休日の増加
  • 有給取得の推進
  • 週休二日制の導入
  • 希望将来の展望やスキルアップへの道筋を明確にし、若手の定着を図る
  • キャリアパスの整備
  • 資格取得支援
  • IT・DX研修制度
  • かっこいい建設業の魅力を高め、ポジティブなイメージを社会に発信する
  • PR活動の強化
  • デザイン性のある現場演出
  • 最先端技術の導入
  • 新4Kの各取り組みをいちはやく確認したい方は、新4Kの各要素に見る具体的な取り組みをご覧ください。

    続いて、これまでの建設業を語る際によく使われていた「3K」との違いについて説明します。

    従来の3K(きつい・汚い・危険)との違い

    かつて建設業界を象徴する言葉として広く知られていたのが、「きつい・汚い・危険」の「3K」です。長時間労働や重労働、現場の衛生・安全面の課題などが背景にあり、若者や未経験者にとって敬遠されやすいイメージを与えてきました。

    3Kと新4Kの違いは次のとおりです。

    観点従来の3K新4K
    視点問題点に焦点を当てた言葉魅力や改善点に注目した提案
    キーワードきつい・汚い・危険給与・休暇・希望・かっこいい
    イメージ働きづらく、ネガティブな印象働きたくなる、ポジティブな印象
    目的課題の可視化(警鐘)業界イメージの刷新・人材確保
    発信の方向性内部の課題認識社会や若年層へのアピール

    新4Kは、3Kのような現場の課題を否定するのではなく、それを出発点として「どうすれば建設業がより魅力ある仕事になるか」を考える前向きな取り組みです。

    建設業界の現状と「新4K」推進の背景


    新4Kが求められる背景には、次のような事情があります。

    1. 人材不足と若手離れの深刻化
    2. 過酷な働き方と長時間労働の限界

    このままでは次世代の担い手が育たず、持続可能な建設業は成り立たなくなるおそれがあります。どのようなことなのか、詳しくみていきましょう。

    背景1.人材不足と若手離れの深刻化

    建設業界では、長年にわたり人手不足と高齢化が深刻な課題となっています。
    国土交通省が公表している「最近の建設業を巡る状況について」によると、建設業就業者数は1997年の約685万人から、2021年には約485万人にまで減少しました。

    特に、29歳以下の若年層の割合はわずか約11%しかおらず、「担い手が育っていない」構造的な問題が浮き彫りとなっています。

    出典:建設投資、許可業者数及び就業者数の推移|国土交通省「最近の建設業を巡る状況について」より ※赤い折れ線グラフが就業者数の推移

    また、技能労働者の平均年齢は年々上昇しており、60代以上が約4人に1人を占める状況です。ベテランの大量離職が予想されるなかで、技術継承や労働力確保の危機感が高まっています。

    下記のグラフを見ても、令和3年の建設業就業者は、55歳以上が35.5%、29歳以下が12.0%と高齢化が進行していることがわかります。

    出典:建設業就業者の高齢化の進行|国土交通省「最近の建設業を巡る状況について」より

    建設業界が持続的に発展していくためには、若手人材が入職し安心して長く働ける仕組みづくりが急務となっていますが、その根幹にあるのが「新4K」の考え方です。

    背景2.過酷な働き方と長時間労働の限界

    建設業界における過酷な働き方と長時間労働は、担い手不足や労働災害リスクの増加などの深刻な問題を引き起こしており、もはや限界を迎えているといえます。

    【過酷な働き方と長時間労働が起こる主な原因】

    慢性的な長時間労働
  • 多くの建設プロジェクトにおいて、納期遵守のプレッシャーから早朝から深夜までの作業が常態化している
  • 天候による作業時間の変動も拍車をかけている
  • 疲労によるリスク増加と生産性の低下
  • 長時間労働は、労働者の集中力や判断力を低下させ、労働災害のリスクを高める
  • 疲弊した状態での作業は効率が悪く、生産性の向上にはならない
  • ワークライフバランスの悪化
  • 過酷な働き方と長時間労働は、ワークライフバランスの悪化も招く
  • ワークライフバランスの悪化は、従業員の離職を招き、業界全体の活力を失わせる結果につながる
  • さらに、2024年から建設業にも「時間外労働の上限規制」が適用され従来の体制では業務が回らなくなる現場が増えていることが予想されます。

    「時間外労働の上限規制」とは、働きすぎを防ぐために法律で残業時間の上限を定めた制度で、建設業も2024年4月から本格的に適用されました。

    区分内容
    月の上限原則 45時間以内(臨時の場合でも月100時間未満)
    年の上限原則 360時間以内(特例ありでも720時間が上限)
    対象元請・下請問わず、すべての建設事業者に適用
    違反時労働基準法違反 → 指導・是正、場合によっては罰則あり
    参考:「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説|厚生労働省

    このような背景から、建設業界では新4Kの推進が注目されています。

    国土交通省が推進する「新4K」政策とは


    国土交通省が推奨する「新4K」の政策について2つの視点から解説します。

    1. 「第3次・担い手三法」の概要と目的
    2. 「新4K」推進の具体策と期待される効果

    視点1.「第3次・担い手三法」の概要と目的

    新4Kの政策的な土台となっているのが、2023年に改正された「第3次・担い手三法」(公共工事品質確保法・建設業法・入契法の改正)です。

    目的は、若年層や女性を含む次世代の担い手を確保・育成するために、建設業の働き方や契約制度そのものを見直すことにあります。

    【「第3次・担い手三法」の主な目的】

    工期の適正化
  • 発注者に対し、無理のない工期設定を義務化
  • 猛暑日なども「作業不能日」として考慮
  • 働き方改革の後押し
  • 週休2日制の導入
  • 残業上限規制に対応できる契約制度を整備
  • 技術者の処遇改善
  • 建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用、促進
  • 賃金水準の引き上げ

  • ※建設キャリアアップシステム(CCUS):技能者の経験や資格を「見える化」して、適正な評価と処遇につなげる国主導の制度のこと

    参考:第三次・担い手3法について~建設業法、入契法、品確法の一体的改正について~|国土交通省

    このように、「給与」や「休暇」といった新4Kの柱と直結する改革が、法的な裏付けをもって進められています。

    視点2.「新4K」推進の具体策と期待される効果

    国土交通省は、「建設業働き方改革加速化プログラム」や各種ガイドラインを通じて、次のような具体的な施策を展開しています。

    【建設業働き方改革加速化プログラムとは】
    建設業界の人手不足や高齢化が深刻化する中、国土交通省が2018年3月に策定したプログラムのこと。建設業の働き方改革を加速させ、持続可能な産業構造への転換を目指す。

    参考:「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定~官民一体となって建設業の働き方改革を加速~|国土交通省

    【建設業働き方改革加速化プログラムおよび各種ガイドラインを通じた新4Kの主な取り組み】

    新4Kの要素主な取り組み
    給与標準労務費制度の導入、建設キャリアアップシステム(CCUS)に連動した技能評価と賃金の可視化
    休暇週休2日制の確保(公共工事で発注者指定型を拡大)、工期の見直し指針の明確化
    希望キャリアパス制度の支援、資格取得・教育機会の充実、IT・DX人材の育成促進
    かっこいいSNSやPRを通じた情報発信、デザイン性ある現場装備・制服の導入支援、女性活躍推進など

    これらの取り組みによって、「過酷な建設業」から、「誇れる建設業」への転換が期待されています。

    次章にて、新4Kの具体的な取り組みについて詳しく説明します。

    新4Kはどう実践されている?建設業の4つの取り組みと対策ポイント


    新4Kの実現に向けて、建設業が取り組むべき施策は次のとおりです。

    1. 「給与」給与水準の底上げと適正な評価
    2. 「休暇」労働環境改善と休みやすさ
    3. 「希望」キャリアと新しい働き方
    4. 「かっこいい」イメージ改革と現場の進化

    それぞれ、詳しくみていきましょう。

    取り組み1.「給与」:給与水準の底上げと適正な評価

    建設業界では、新4Kの取り組みのもと、給与水準の底上げが着実に進められています。

    かつては、長時間労働や景気変動の影響を受けやすい収入体系が、若手人材の離職や業界離れを加速させる原因となっていました。

    近年、建設技能労働者の平均給与は上昇傾向にあり、これを支えているのが、国土交通省が導入を進める「標準労務費制度」です。

    【標準労務費制度とは】
    技能労働者に対して適正な賃金が行き渡るよう、工種ごとの標準的な労務費(=設計労務単価×歩掛り)を基準として、請負契約の際に一定水準以上の賃金支払いを促す制度のこと

    参考:賃金引き上げについて|国土交通省

    この制度により、次のような効果が期待されています。

    適正な賃金水準の確保極端な安値での受注(いわゆる「ダンピング」)を防止し、元請・下請を通じて技能労働者に適切な賃金が支払われる仕組みを整備する
    賃金の見える化と透明性見積書に労務費の内訳を明記させ、賃金水準の明確化を推進する
    建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用能力や経験を可視化し、適切な評価と処遇に反映させる
    公正な競争環境の整備不当な廉売を制限することで、業界全体の健全な競争を促進する

    収入の安定と正当な評価が進めば、建設業界の魅力アップにつながります。新4Kが掲げる「給与」改革は、働く人が安心して将来設計できる業界を目指すための、大きな一歩です。

    1. 【対策ポイント】標準労務費制度とCCUSの活用で、公正な賃金と人材評価の仕組みを整える

    取り組み2.「休暇」:労働環境改善と休みやすさ


    建設業界においても、しっかり休める環境づくりは重要なポイントです。働きやすさを整えることで、業界の持続可能性と人材定着が向上します。

    建設業界では、長時間労働や休日の少なさが常態化しており、「休みにくい仕事」というイメージが根強く残っています。特に、公共工事や短工期の現場では、工程管理の都合で十分な休暇を確保しづらい現実があり、これまで若年層や子育て世代の定着を妨げる要因となってきました。

    こうした課題に対して新4Kの「休暇」では、働きやすい労働環境の整備を重点項目とし、年間休日数の見直しや週休2日制の導入が進行中です。また、現場管理体制の見直しやICT活用によって、現場の属人化を防ぎ、誰かが休んでも現場が回る仕組みづくりも広がっています。

    1. 【対策ポイント】週休2日制の導入とICT活用で、休みやすい現場体制をつくる

    取り組み3.「希望」:キャリアと新しい働き方


    建設業界の「希望が持てる働き方」を整えることは、若手や未経験者の定着が期待される重要な改革です。将来の展望が描ける環境こそ、業界の魅力を高めるポイントになります。

    これまでの建設業界には、次のような課題がありました。

    1. ・ベテランの経験に頼る属人的なキャリア形成
    2. ・明確な昇進ルートや賃金モデルが不明瞭
    3. ・「この業界で続けたらどうなるのか」が見えない
    4. ・若手にとって「希望」が感じにくい

    これらの課題解決のために、新4Kの「希望」の取り組みとして次のようなことが広がっています。

    取り組み内容
    キャリアパス制度の整備経験・技能に応じた昇進モデルを明らかにする
    資格取得支援制度学び直しや国家資格取得に対する補助制度を導入する
    IT・DX(デジタル技術を活用して業務や働き方を変革する取り組み)導入現場作業だけでなく、遠隔管理・BIM設計・事務職など多様な働き方が可能になる

    希望の持てる建設業界とは、「この仕事には未来がある」と実感できる環境のことです。新4Kが示す「希望」は、単なるスローガンではありません。人が育ち、安心して働き続けられる職場をつくるための本格的な変革です。

    1. 【対策ポイント】キャリアパス整備とDX導入で、多様な未来の選択肢を提示する

    取り組み4.「かっこいい」:イメージ改革と現場の進化


    建設業を「かっこいい仕事」に変えることにより、未来の建設業の担い手が集まることが期待されますが、建設業では、次のようなネガティブなイメージが根強く残っています。

    1. ・重労働で汗まみれの現場仕事
    2. ・キツい・汚い・危険の「3K」
    3. ・ITや最新技術とは無縁の職人気質なイメージ
    4. ・SNSでシェアされるような魅力がない

    ネガティブなイメージは、若者や女性にとって参入のハードルになりかねません。新4Kの「かっこいい」では、次のようなイメージ改革・職場環境の改善が進んでいます。

    取り組み内容具体例
    PR戦略の強化SNSやYouTubeでの情報発信や若者向けパンフレットを配布する
    最新技術の導入ドローン・3D測量・BIM・ロボット施工など、最先端の現場技術が広がる
    デザイン性のある制服・道具機能性と見た目を兼ね備えた作業服や装備が注目されている
    女性や若者が活躍する現場演出インタビュー記事やイベントでロールモデルを発信する

    「かっこいい」は見た目だけではなく、「誇りを持って働ける環境」も意味します。誰かに話したくなる仕事、SNSでシェアしたくなる現場をつくることが、これからの建設業に人を呼び込む原動力です。

    1. 【対策ポイント】最新技術とPR戦略を活用し、建設業の「見せ方」を変える

    これまで紹介したように、建設業界のイメージ改革を進めるうえで、最新技術の活用やDXの推進は欠かせない要素です。現場のデジタル化や遠隔管理体制の構築などの取り組みは、「新4K」を推進する土台となり得ます。

    とはいえ、「いきなり高度な技術導入に踏み切るのは難しそう」と感じる方には、株式会社MIYOSHIが提供する「G-cam(ジーカム)」および「G-POKE(ジーポケ)」がおすすめです。

    どちらのカメラも専門知識がなくても、カンタンに操作できるのが特長です。ネットワークを通じて、離れた場所から現場の状況をリアルタイムに把握できるだけでなく、「G-POKE」なら作業員との双方向コミュニケーションも可能です。
    2つのカメラの主な特徴を、下記にまとめました。

    製品名特徴内容
    Gcam(監視カメラ)
    簡単設置モバイルSIM+設定済みルーター内蔵で、電源を入れるだけですぐ使用可能
    高画質最高500万画素の鮮明な映像を昼夜問わず提供
    全天候対応IP66(※)相当の防塵・防水性能で屋外設置も安心

    (※)IP66……日本産業規格で防塵・防水に関する等級

    G-POKE(小型ボディカメラ)
    軽量設計わずか165gで長時間装着しても負担にならない
    簡単操作タッチパネル搭載で直感的、電源ONですぐ録画
    多機能ライブ映像通話・インカム機能によるリアルタイム連携
    柔軟な活用身につける・三脚を利用して定点カメラとして利用するなど、さまざまな活用方法に対応

    営業日15時までのご注文で、全国どこでもタダでお届けできるので、新4Kへのはじめの一歩として導入のハードルが低く、初めての現場DXツールとしてもおすすめです。

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    新4Kの実現に向けてできることから始めよう


    建設業界が抱える人手不足や「3K」イメージを払拭し、持続可能な業界へと変わるには「新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)」の実現に向けての取り組みが大切です。
    本記事で紹介した国交省の「働き方改革加速化プログラム」のほか、ICT導入・キャリアパス整備・週休2日制などの取り組みを進めていきましょう。

    新4K実現にはさまざまなツールの活用も有効です。例えば、株式会社MIYOSHIがレンタルを実施しているカメラ「G-cam」はWi-Fiがない環境でも画像の転送ができるため、管理者が遠隔にいながら映像確認が可能なカンタン監視カメラです。

    「G-POKE」は、作業員の胸元などに装着して利用できる小型ボディカメラで、オンライン・オフラインどちらの環境でも利用でき、活用の幅が広がります。

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