建設業の安全大会とは?目的や主な内容・大会成功の6つのポイントを解説
更新日:2024.12/28 公開日:2024.12/25
危険作業の多い建設業界において、安全大会は労働災害防止や安全意識の向上を図るためのイベントです。
本記事では、安全大会の目的や主な内容、大会を成功させるために押さえるべき6つのポイントを徹底解説します。安全大会を成功させるためのヒントが満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。
また、安全大会の内容を今すぐ知りたい方は、下記より詳細をご確認ください。
安全大会とは?いつ開催される?法的義務はある?
安全大会は、建設業界で労働災害の事故防止や安全意識の向上を目的に定期的に開催されるイベントです。
建設現場では、高所作業での転落や重機による巻き込まれ事故のようなさまざまなリスクが存在します。そのため、建設現場での事故や災害を防ぐために労働者の安全衛生に関する知識を深め、安全への意識の向上を目指して安全大会が開催されています。
安全大会の法的な位置づけや開催時期は、次のとおりです。
法的な位置づけ |
・建設業における安全大会の開催は法的義務ではないが、労働安全衛生法に基づく安全衛生管理体制の一環として推奨されている ・多くの企業が自主的に実施しており、安全文化の醸成に重要な役割を果たしている |
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安全大会の開催時期 |
・安全大会は、厚生労働省が主唱する全国安全週間(毎年7月1日から7日まで)にあわせて開催する企業が多い ・全国安全週間中に大規模な安全大会を実施し、年間を通じた安全活動の起点とする企業が多く見られる |
安全大会は建設業界で働く人々が集まり、安全について再確認し、意識を高める貴重な機会です。大会を通じて、労働災害の減少や安全で健康的な作業環境を確保することが期待されます。
安全大会の目的
安全大会は、建設現場で働くすべての関係者が参加し、安全衛生に関する知識を深めることを目的としています。主な要素は次のとおりです。
労働災害防止と安全意識向上 |
・建設業は労働災害のリスクが高い業種であるため、安全大会では参加者の安全意識を徹底的に高めることを目指している ・事故事例の詳細な分析や再発防止策の検討を通じて、リスク認識能力の向上を図る |
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従業員間のコミュニケーション強化 |
・グループディスカッションやチームワークを重視した活動を通じて、従業員間のコミュニケーションを深める ・安全テーマに基づくグループワークや全員参加の安全体操により、チームの一体感を作り上げる |
最新の安全対策や技術の共有 |
・外部専門家による講演や新技術・新工法の紹介を行い、最新の安全対策や技術情報を共有する ・参加者は専門的な知識を得るとともに、自社現場への新技術導入を検討する機会が得られる |
安全大会は建設業界における労働者の安全意識向上と災害防止のための重要な取り組みであり、業界全体で積極的に取り組むべきイベントでもあります。
建設業の労働災害の現状
建設業における労働災害は長期的には減少しているものの、いまだに他の業種に比べて高い比率で発生しています。令和5年の労働災害での死亡者は223人でした。
参考:令和5年の労働災害発生状況を公表|厚生労働省をもとに作成
建設業には、下記のように労働災害につながりかねない危険作業があります。
- 高所作業による墜落・転落
- 重機の操作による操作ミスや接触事故
- 資材の落下や挟まれ事故のリスク
- 掘削作業による土砂崩れや地盤沈下
- 解体作業による予期せぬ崩壊や粉塵の吸引
- 電気工事による感電や火災の危険性 など
なかでも死亡災害で最も多いのは、墜落・転落によるもので、国土交通省も墜落・転落防止対策に力を入れています。
また、厚生労働省は、建設業における死亡者数を令和9年までに15%以上減少させる目標を立てています。
労働災害を減少させるためには、一人ひとりの安全意識の向上が欠かせません。安全大会を活用して、現場全体で効果的な安全対策を共有・実践することが、死亡災害削減に向けた取り組みの一つです。
下記の記事では、建設現場で起こりやすい事故や対策を解説しているので、併せてご覧ください。
安全大会で実施される主な7つの内容
安全大会で実施される主な内容を7つ紹介します。
安全大会の実施を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
1.安全講話
現場での事故防止や安全対策についての講話が行われます。安全講話の主な目的は、過去の事故例やヒヤリハット体験を共有し、参加者が危険な状況への理解を深めることです。
登壇者は、現場をよく知る責任者や安全管理者・専門知識を持つ外部講師・実際にヒヤリとした経験を持つ社員など自社の目的や参加者の属性によって選出します。
2.健康講話
健康講話は、従業員の健康意識を高め、安全な職場環境の実現に貢献する取り組みです。
体力維持・メンタルヘルス・適切な睡眠や食事など、健康的な生活を送るための具体的なアドバイスを提供することで、労働災害のリスクを減らし、生産性を向上させることを目指します。
3.避難訓練
避難訓練は、火災や地震など想定外の災害に直面した際に、全員が素早く確実に避難することが主な目的です。
避難経路の確認はもちろん、「混雑時にどう対処するか」「視界が悪い中での行動方法」など、現実的なシナリオを取り入れた訓練を行うことで、緊急時に必要な「冷静さと判断力」を身につけます。
また、訓練中に体験する「初期消火のタイミング」や「避難優先の判断基準」などは、実際の災害時において命を守る判断につながります。リアルな訓練は、参加者一人ひとりが自らの行動に自信を持つことができ、現場全体の安全意識が向上する絶好の機会です。
4.消火器訓練
安全大会の消火器訓練では、火災発生時の初期対応能力の向上を目指します。
訓練では操作手順の学習をはじめ、「どの距離で使用すべきか」「粉末消火器の効果を最大限に活かす角度は?」など、火災の初期対応に役立つポイントにフォーカスします。
さらに模擬炎を使った体験型訓練では、参加者は火の勢いを目の当たりにしながら対応を学び、机上の知識を現場のスキルに変えられる点も効果的です。現場の仲間と連携して安全を守るためのチームワーク構築にも役立ちます。
5.救命講習
安全大会での救命講習では、主に心肺蘇生法(CPR)とAEDの使用方法を学び、いざという時に備えます。
参加者は、人形を使って胸骨圧迫の正しい位置や強さ・リズムを実践的に習得します。AEDの電極パッドの貼り付け位置や機器の操作手順も体験し、緊急時に冷静に行動する力を培う機会として効果的です。
助けを呼ぶタイミングや周囲との役割分担など、リアルなシナリオを交えた指導で、実際の現場で役立つスキルや突発的な事態でも適切な対応ができる「頼れる存在になる」人材育成にもつながります。
6.季節ごとの対策訓練
夏季の熱中症対策や冬季の凍結による転倒防止など、季節特有の対策訓練も安全大会で取り上げるべきテーマです。
例えば、熱中症対策訓練では、こまめな水分補給のタイミングや適切な休憩の取り方、気温が高い中での服装の工夫などを学びます。一方、冬季の訓練では凍結した地面での正しい歩行方法や滑り止め靴の活用法など、事故を未然に防ぐ実践的な知識を習得します。
季節ごとの訓練は、「季節の変化に応じた準備で事故を防ぐ」安全な作業環境づくりの一つです。
7.表彰式
安全大会の表彰式は、安全対策に優れた支店や個人を称える場です。無事故・無災害を達成した現場や、安全衛生管理に積極的に取り組んだ従業員が表彰されます。
「安全衛生優良社員」「安全功労賞」などの賞を通じて、安全意識の向上とモチベーション強化を図ることにより、他の従業員にとっても模範となる事例を学ぶ良い機会です。
建設業の「ヒヤリハットの法則」を理解することの重要性
ヒヤリハットの法則とは、1件の重大事故の背後には29件の軽傷事故と300件の無傷害事故が隠れているとされている法則のことです。これらはすべてヒヤリハット(危険な状況や出来事)によって引き起こされるおそれがあります。
安全大会でヒヤリハットの法則を理解する重要性を、下記に挙げました。
潜在的リスクの早期発見 | ・些細な出来事も見逃さず報告することで、大きな事故につながる可能性のある危険要因を特定できるようになる |
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予防的安全対策の実施 | ・ヒヤリハット事例の分析・対策の実施で、重大事故を未然に防げるようになる |
安全意識の向上 | ・日常的に危険を認識し報告する習慣が、作業員全体の安全意識を高める |
法令遵守と責任 |
・労働安全衛生法では、事業者には労働者の安全と健康を確保する義務がある ・ヒヤリハットを理解し対策をすることは、法令遵守のためにも欠かせない |
安全大会で参加者がヒヤリハットの法則を理解できるように導き、労働災害防止や安全意識向上に役立てましょう。
なお、現場で起こりやすい事故や安全対策についてはこちらの記事で詳しく紹介しているので、併せてご覧ください。
建設現場で起こりやすい事故とは?安全対策の取り組み事例も紹介
現場の安全管理には、安全大会を通じた知識向上はもちろん、サポートするツールの活用も欠かせません。近年では、インターネットに接続できる監視カメラやウェアラブルカメラを活用し、作業現場の業務効率化や作業員の安全確保に努める動きが活発になってきています。
株式会社MIYOSHIでは、現場から離れた場所でもリアルタイムに状況を確認できるカンタン監視カメラ「G-cam(ジーカム)」や小型ボディカメラ「G-POKE(ジーポケ)」のレンタルを実施しています。どちらもインターネットに接続できる環境を内蔵しているため、届いたその日からすぐに監視が可能です。
それぞれの特徴は次のとおりです。
カンタン監視カメラ「G-cam」
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・HD対応で高画質録画が可能 ・広範囲の監視が可能(横350°・縦90°) ・SIM内蔵でWi-Fi不要 ・Webブラウザで遠隔確認が可能 【使用例】建設現場や工事現場の広範囲な監視・施設全体の監視 |
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小型ボディカメラ「G-POKE」
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・重さ165gの小型ボディカメラ ・SIM内蔵で遠隔地からライブ映像確認が可能 ・三脚に固定して定点カメラとしても利用できる ・作業員が配信する映像で離れた場所から進捗確認が可能 【使用例】作業員とやりとりをしながらの安全確認やリアルタイムの情報共有 |
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安全大会成功のための6つのポイント
安全大会を成功させるためのポイントを6つ紹介します
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
ポイント1.目的を明確にする
安全大会の目的を明確にするためには、具体的で測定可能な目標を設定しましょう。
例えば、「労働災害発生率の20%削減」「ヒヤリハット報告件数の増加」などの明確な目的を設定すると、参加者は大会の意義を理解し、主体的に参加できるようになります。また、目的に基づいたプログラム構成や評価指標の設定が可能となり、安全大会の実効性が高まります。
ポイント2.テーマを選定する
安全大会のテーマ選定は、現場の実情や最新の安全課題を反映することがポイントです。
例えば、「ヒューマンエラー防止」「熱中症対策」「新技術による安全管理」などが、テーマとして考えられます。テーマは、参加者の興味を引き、具体的な行動につながるものを選びましょう。
また、年間の安全目標や直近の労働災害傾向と連動させることで、より実践的で意義のあるテーマになります。
ポイント3.講師を選定する
安全大会の講師は、テーマとの適合性、伝達力、最新の知識や実践的なアドバイスなどが提供できる人材を選びましょう。
例えば、業界の第一人者や安全管理のエキスパートや労働安全衛生の専門家など、信頼性と専門性の高い講師を招くことが理想です。また、現場経験豊富な社内の安全管理者や、実際に事故を経験した方の経験談は、作業員にとっても興味深い話題です。
参加者の興味を引き、実践につながる内容をイメージしましょう。
ポイント4.コミュニケーションが取れるプログラムを導入する
安全大会において参加者同士の交流を促進しながら安全意識を高めるために、コミュニケーションが取れるプログラムを導入してみましょう。
例えば、次のようなプログラムがおすすめです。
対話型の講習 |
・講演だけでなく、グループディスカッションやワークショップを取り入れることで、参加者同士が意見交換を行いやすくする ・活発な意見交換で、実際の現場での経験や知識を共有できるようになる |
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ヒヤリハット事例の共有 | ・参加者が過去のヒヤリハット事例を持ち寄り、それについて議論する時間を設けることで、具体的な危険意識を高められる |
ロールプレイやシミュレーション |
・実際の作業環境を模したロールプレイやシミュレーションを行うことで、参加者はリアルな状況での対応力を養える ・コミュニケーション能力向上も期待できる |
コミュニケーションの促進を目指したプログラムにより、参加者同士が協力して課題に取り組み、チームワークと相互理解の深まりが期待できます。
ポイント5.事前準備とリハーサルをする
安全大会の事前準備とリハーサルも、大会成功への要素の一つです。
準備とリハーサルでの確認項目を下記にまとめました。
- 進行表の作成
- 必要な機材の確認
- 講師や参加者が移動しやすい通路の確保
- 座席の配置は適切か
- 講師の講演内容や時間
- プログラムの時間配分や流れ
- 機械の操作
【準備で行うこと】
【リハーサルで確認すること】
さらに、機材の故障や予定外の質問対応など想定外の事態への対応策も十分に検討し、当日のスムーズな運営と参加者の満足度向上を目指しましょう。
会場設営・機材確認などの調整と準備が、質の高い安全大会につながります。
ポイント6.参加者からフィードバックを受ける
安全大会後のフィードバックは、次回大会の改善のためにも欠かせません。アンケート用紙や電子フォームを活用し、プログラムの満足度・学びの内容・改善点などを具体的に検討しましょう。
アンケートをとる際は、匿名性を確保すると参加者から率直な意見を収集しやすくなるので、おすすめです。
集められた意見は分析・集計し、次年度のより良い安全大会の企画立案に反映させましょう。
安全大会は建設業の安全教育に欠かせないイベントのひとつ
安全大会は、従業員の安全意識の向上や業界全体の安全文化を構築するために欠かせないイベントです。目的を明確にし、安全講話や訓練・表彰式など従業員の関心を惹き、学びになるようなプログラムの実施で、職場の安全意識の向上が期待できます。また、「ヒヤリハットの法則」を活用し、潜在的なリスクに気付く力を養うことも安全対策に効果的です。
明確なテーマ設定やリハーサルの徹底、参加者からのフィードバックなどを軸に、意義のある安全大会を開催して安全で働きやすい職場づくりを推進しましょう。
なお、現場の安全管理には適したツールの活用もおすすめです。例えば、株式会社MIYOSHIが提供するカンタン監視カメラ「G-cam」や小型ボディカメラ「G-POKE」は、高い防水・防塵機能を搭載しており、過酷な建設現場でもしっかりと働き、安全管理に活用できます。
カンタン監視カメラ 「G-cam」 |
・赤外線カメラを搭載しているため、昼夜問わずに監視できる ・夜中に資材が倒れた・破損箇所があるなどのトラブルもカメラを通じて把握できる |
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小型ボディカメラ 「G-POKE」 |
・現場に行かなくても作業員と映像を通じてリアルタイムに情報共有できる
・身体に装着して臨場感あふれる映像が撮れるため、離れた事務所から現場へ細やかな指示が出せる |
「G-cam」「G-POKE」は1週間の無料レンタルも実施しています。お試し後、そのままレンタルも可能ですので、気になる方は下記よりお気軽にお問い合わせください。